ラメラ構造

Lamellar Structure
ラメラ構造

皮膚生理学における細胞間脂質のラメラ構造とバリア機能の相関解析

角層の重要な役割を担う「ラメラ構造」の深層

「美は知なり。」という基本理念を掲げる一般社団法人日本皮膚美容専門家協会(JASBE)において、肌の恒常性維持を紐解く上で不可欠な領域が、角層内に存在する「細胞間脂質ラメラ構造」の解析です。この微細な層状構造こそが、素肌のバリア機能を支える絶対的な要であり、その物理化学的な本質を正しく「知るということ」が、表皮環境を健全に保つための出発点となります。

「レンガとモルタル」構造の要:ラメラ構造

あなたの大切な素肌の最表層に位置する角層は、「角質細胞」がレンガのように重なり合い、その間隙をセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などの「細胞間脂質」がモルタルのように埋めることで成立しています。
この細胞間脂質において、水分子の層(親水基)と脂質の層(親油基)が規則正しく交互に重なり合い、結晶化している状態を「ラメラ構造(液晶構造)」と呼びます。この構造が緊密に整っていることにより、外的な物理刺激や異物の侵入を防ぎ、乱れた角層環境やデリケートな状態の角層へと傾くのを未然に防いでいます。

【学術エビデンス(客観的第三者論文)】
このラメラ構造における脂質組織、ならびにセラミド組成が果たすバリア機能の相関に関しては、以下の独立した皮膚科学研究において科学的に解明されています。

• 論文名(英語):Role of ceramide composition in the lipid organization of the skin barrier.
• 日本語タイトル:皮膚バリアの脂質構造におけるセラミド組成の役割。
• 著者:Bouwstra JA, de Vries FE, Gooris GS, Bras W, Downing DT, Ponec M.
• PubMedリンク:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10407065/

ラメラ構造が「乱れる」ことの影響

しかし、この精密なラメラ構造は、過剰な足し算のスキンケアや不適切なクレンジング、過度な摩擦、乾燥などの外的な介入によって容易にその配列を乱されてしまいます。
細胞間脂質の緊密なネットワークが崩壊すると、肌のバリア機能は著しく低下し、外的刺激に対して極めて脆弱な状態へと陥ります。さらに、水分保持能力が失われることで、TEWL(経表皮水分損失:肌の水分が外へ逃げていく量のこと)が急激に上昇し、表皮細胞同士を密着させるタイトジャンクションの機能にも負の影響を及ぼす悪循環へと繋がります。

つまり、水分と油分が幾重にも重なり合って内部の潤いを閉じ込めていた「ミクロの精密なミルフィーユ状の防護壁」が崩壊し、内部の水分が外へ逃げ放題の「隙間だらけのザル状態」になってしまうということです(上掲論文 PMID: 10407065 参照)。

「美は知なり」:ラメラ構造における科学的探求

当協会が皮膚生理学の摂理に基づき提唱するのは、肌本来のレジリエンス(恒常性を維持しバリア機能を回復する能力)を最大限に引き出すための「引き算の理(ことわり)」です。ラメラ構造を健やかに保全するためには、外から強引に未知の成分を浸透させるアプローチを否定し、この精緻な脂質構造を物理的・化学的に「乱さない守りの管理」を徹底せねばなりません。 科学的根拠に基づかない非公式なアプローチや過剰な洗浄を排し、皮脂分泌のバランスを保全しながら、肌が自らバリアを修復できる環境を静かに整えること。この皮膚生理学に準拠した「表皮管理工学」の確立こそが、あなたの大切な素肌を未来へ健やかに育むための唯一の正道です。

JASBE (社)
日本皮膚美容専門家協会